2008 Fiscal Year Annual Research Report
大学教養教育にふさわしい障害理解教育実現のための教授法及び教材研究
Project/Area Number |
20653055
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福島 智 The University of Tokyo, 先端科学技術研究センター, 教授 (50285079)
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Keywords | 障害理解 / 教養教育 / 教授法 / 効果測定 / 教材研究 |
Research Abstract |
今年度は、本課題の目的として設定した(1)従来の障害関連教育の教授法および教材に関する調査研究、(2)実験的授業プログラムの効果や妥当性についての評価・分析、(3)今後の望ましい障害関連教育のあり方に関する検討、(4)研究成果の公開とインタラクティブな検証システムの構築、のうち、主に(1)〜(3)に関して予備的な成果を得た。 (1)については、関連領域における既存の教材に関す検討を行った上で、教養課程における障害理解教育の基礎文献リスト(カノン)の作成に向けて、テーマや難易度を基準とするリストの構造化と基礎文献のピックアップを行った。 (2)については、東京大学教養課程において開講されている全学自由研究ゼミナールにおいて「フェアネスの障害学」という演習形式の授業を実施し、(a)障害問題を読み解くに当たって「フェアネス(公平性)」という新しい思考様式を導入し、(b)ロールプレイやゲームを通じた体感的な理解と、問題の構造についての分析的・論理的思考とを往復する授業構成を採用し、(c)学生とのインタラクションのみならず担当教員間(3名)のインタラクションを重視する、といった実験的な試みを行い、その効果について分析する基礎的なデータを得た。また、授業や研修等の効果測定を目的とした既存の心理尺度や評価課題に関して、本研究課題の目的との関連で有効性を検討し、幾つかの知見を得た。 (3)については、関連分野の取り組みに関する整理を踏まえて、2008年8月に連携研究者との議論を通じて研究の焦点を明確化したほか、2009年2月に特別シンポジウム「『バリアフリー』でいいのか?!-大学の『バリアフリー』を問い直す」を開催し、現状の障害関連教育における問題点の把握と今後の展望についての論点整理を行った。
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