2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20653065
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Seisen Jogakuin College |
Principal Investigator |
室井 美稚子 Seisen Jogakuin College, 人間学部, 教授 (60390415)
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Keywords | 対立解決学習 / ノルウェー / SABONA / ヨハン・ガルトゥング / Transcend Approach / グローバル教育 / 総合的な学習の時間 / 小学校 |
Research Abstract |
本研究の目的は、現在問題になっているミクロレベルの人間関係から文明・民族のメガレベルに至る関係性やコンフリクトの解決を考える新たなパラダイムを模索することにある。その重要性は人間の安全保障の観点からも高まって、特に日本の学校における具体的な方法論の導入は急務である。 ノルウェーにおける参加型の対立解決教育を研究・検証し、日本において紹介すると共に、学校において導入する方法を模索することは有益である。特に、平和学における世界の第一人者であるヨハン・ガルトゥング博士の指導のもとに行われているSABONAの概要を調査している。ズールー語で「I see you.私はあなたを見ている」を意味するこの方法は、和解が個人と社会の進歩にとって根本的な要素であるとする発想に深く根ざすものである。この考え方と、ガルトゥング博士の提唱するTranscend(超越)という紛争解決conflict resolutionの理論を組み合わせて、小学校などにおける生徒指導に応用しようというのがSABONAプロジェクトであり、成功を収めつつある現在、ノルウェーから発信して他のヨーロッパ諸国に広がりを見せている。 初年度の今年は、ノルウェーに出向いて発案者と実践者から1週間のワーショップを受講した。オスロ-郊外で実際に小学校や生涯学習の施設においてプログラムを展開しているラースさんおよびシノーバさんより、実施の準備段階や実際の展開例などの講習を受けた。また、その支柱の理論をヨハン・ガルトゥング博士より直々に講義を受けるチャンスを得られたことは意義深い。 日本における特別活動や総合的な学習の時間は、各学校や個々の教員によって工夫がなされてきた。しかし、児童・生徒間の心の問題や人間関係の構築の仕方、さらには社会や世界との関わり方などへの有効な方法が見出せていない。そのような教育現場にあっては、この方法は大きなヒントとなりうることを、ワークショップとセミナーを通じて実感できたのは大きな一歩である。
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