2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20653065
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Research Institution | Seisen Jogakuin College |
Principal Investigator |
室井 美稚子 Seisen Jogakuin College, 人間学部, 教授 (60390415)
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Keywords | 対立解決学習 / ノルウェー / SABONA / ヨハン・ガルトゥング / Transcend Approach / グローバル教育 / いじめ / 日本の教育現場 |
Research Abstract |
本研究の目的は、欧米の教室において盛んな対立解決教育、特にヨハン・ガルトゥングが考案したノルウェー発のSABONAの手法を日本の学校教育に紹介することである。1年目はノルウェーに出向いて同博士主催の研究会に参加し、実行している小学校教員などのカウンターパートと交流し手法を学んだが、2年目の本年はカンボジアや台湾での国際会議などでより一層の交流と研究を行い、手法については理解が深まった。 しかし、運用の際に2点の課題も見えた。欧米との文化的・精神的な風土の差異のために日本の児童生徒にそのままではアプライしにくい点、また日本の教室での運用にはノルウェーで使用されている問題解決のためのソーティング・マットが扱いにくい点である。先ず2点目の物理的に解決できる問題の改善に取り組み、まだ今後の改善が必要なものの一定の成果が出せた。小学校の教員や学生のアイデアを借りて、問題解決マットを簡易化すると共に、小学生にも一目瞭然となるデザインを勘案・制作に至った。これは今後も改良を進めていくつもりである。また1点目については、人前で自己主張することが苦手な日本の生徒にとっては、いじめや喧嘩の当事者といきなり対峙するのは難しいので、ファシリテーター(学校においては教職員)の役割を一層工夫する必要があると考えられる。本年は、ワークショップを行って様子を見たが、成人においても自己開示の課題は大きい。まして小・中学生の場合、本人たちの感情を如何にくみ取って、和解とそれより一層進んだ状態である共通のポジティブな未来に持ち込むことが出来るか、またファシリテータは具体的にどうすればよいかの研究に重心を置いた。 本研究は単独研究であるが、年度末に同様の問題意識を持つ研究者や学校関係者と勉強会を立ち上げた。有効な問題解決の方法を求めている教職員とのパイプができ、教育現場に大きな規模で紹介できる緒に就いたところである。
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