2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20653065
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Research Institution | Seisen Jogakuin College |
Principal Investigator |
室井 美稚子 清泉女学院大学, 人間学部, 教授 (60390415)
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Keywords | 対立解決学習 / ノルウェー / SABONA / ヨハン・ガルトゥング / Transcend Approach / 小学校 / いじめ / 生活指導 |
Research Abstract |
研究の目的は「日本の初等及び中等教育における特別活動や総合的な学習の時間の内容について、参加型の対立解決教育を中心とした新たな方向性を構築すること」であった。具体的には対立解決教育・紛争転換教育として、ノルウェーを中心にヨーロッパで普及しつつあるSABONA(ソーティング)マット教育を、日本の精神風土に合うように改変しつつ、導入することであり、今年度の成果は下記の通りである。 大阪市の教育センターで行った夏期研修では180名近い小学校の先生達に紹介し、実際にHRで継続的に試みるケースも出始めた。また、大阪の私学教員の研修でも紹介し、アンケートでは効果があるとする意見が多かった。それは平和学の祖と呼ばれるヨハン・ガルトゥング考案のSABONAが、難しい局面が多い学校現場で求められる方向性を示すからであろう。子供の心の中に、もめ事を解決する方法論を根付かせ、コミュニケーションのスキルの一つとして役立つからである。 今年度「SABONAの会」を結成し、世話人の一人として組織的に紹介する足がかりを得た。大阪・徳島および長野でも「SABONAマット教育」として紹介した結果、徐々にではあるが実践例が増えている。また、マニュアルも作成し、普及に努めている。 「研究実施計画」では、ノルウェーの教育現場との連携を保ちつつ、他国における普及活動も視野に入れるという位置づけで、現地での研修やワークショップに参加し、オスローでの推進小学校の中心メンバーとの交流も進んだ。一方、中国やオーストラリアでの国際的な平和研究者の大会及び日本平和学会でも研究発表も行った。 また、本年度末にはノルウェー語版から英語版のSABONAが出版され、著者との交流のお陰で日本語に翻訳する依頼を受けることが出来たのは、本助成金の直接の成果と言えよう。日本語版によって、国内での対立解決教育の方法であるSABONAを一層普及させたい。
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