2009 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害児の運動機能支援効果に関する生理心理学的研究
Project/Area Number |
20653077
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
鈴木 保巳 Nagasaki University, 教育学部, 准教授 (90315565)
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Keywords | 発達障害児 / 運動機能計測 / 脳波基礎律動 / 動作観察・遂行 / 発達支援 |
Research Abstract |
1. 発達障害児の運動機能計測に適した測定課題の検討 行動的測度により検討されている模倣の困難さ、観察の困難さ、動作の困難さなどの発達障害児の運動機能を生理学的指標に基づいて定量計測するために、他人の動作観察時、子ども自身の動作時の中枢活動に焦点化した脳波測定パラダイムを確立した。他人の動作観察課題として投動作、落下するボールのキャッチ、手掌(片手)の開閉動作の画像を呈示、非生物的動きの観察課題として落下してはねるボールの画像を呈示する。子ども自身の動作課題として、落下するボールをキャッチ、手掌(片手)の開閉動作を遂行する。これらの課題をランダムな順序で実施して脳波計測するものである。 2. 発達障害児の運動機能計測 上記の測定課題により知的障害児の脳波計測を実施し、非自閉症群と自閉症群にわけて脳波基礎律動成分(α波帯域成分)の出現様相を検討した。非自閉症群では,主として手掌の開閉動作を観察・遂行する際に成分抑制がみられ、複数要素から構成されるボール操作よりも単純な動作課題でより脳活動が高まるものと推測された。一方自閉症群では、単純な課題であっても成分の抑制はわずかであり、動作の観察と遂行に関与する脳機能が非自開症群に比べ低下していることが推測された。これにより、発達障害の種別によって異なる中枢運動機能の特徴が定量的に示され、発達障害児の機能評価に有効な客観的指標として発達支援の手がかりとなることが期待される。以上の成果は、平成22年度に開催される国内・国際会議にて公表する。
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Research Products
(1 results)