Research Abstract |
本研究の目的は,軽度発達障害児を対象に,学校版運動とプロセス技能評価(School AMPS)を用いた作業療法(以下OT)の成果を明らかにすることである。School AMPSは教室における児童の課題遂行を観察評価し,運動とプロセス能力測定値を算出するものである。研究方法は,幼稚園等に通う児童9名(男性8名,女性1名,平均年齢5歳5ヶ月,軽度発達障害児6名,疑いのある児童3名)を介入群として,School AMPSの結果をもとにOTを実施し,約4か月後の再評価との差を比較した。また,幼稚園等に通う児童9名(男性6名,女性3名,平均年齢5歳2ヵ月,軽度発達障害児4名,疑いのある児童5名)を対象群とし,School AMPSのみを初回と約3か月後に実施し,その差を比較した。介入群,対象群それぞれの運動とプロセス能力測定値の初回と再評価の差をPahgedT検定を用いて分析した。その結果,介入群の運動能力測定値はp=0.033,プロセス能力測定値はp=0.020(p<0.05)となり,両者ともに有意差が認められた。その一方で,対象群の運動能力測定値はp=0.074,プロセス能力測定値はp=0.495(p>0.05)となり,両者ともに有意差が認められなかった。すなわち,School AMPSを用いてOTを実施した場合にのみ,児童の運動能力とプロセス能力に有意な改善がみられた。さらに,School AMPSを用いたOT介入を経験した11名の教員に対する調査では,全員が「School AMPSとOT介入が役に立った」,「作業療法士の関わりや提案が必要だ」と回答していた。以上の結果から,School AMPSを用いて児童の課題遂行を評価し,その結果をもとに教員と協働することで児童の課題遂行能力が改善し,教員がSchool AMPSを用いたOTの成果を実感していることが示唆された。
|