2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20654005
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山口 孝男 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (00182444)
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Keywords | リッチ流 / 特異点 |
Research Abstract |
今年度の研究において、曲率ポテンシャルを用いた手法をもちいて絶対全曲率が一様に有界な曲面のリッチ流のもとでの曲率の絶対値評価を目指したが、残念ながらまだ糸口が掴めていないのが現伏である。たたしリッチ流研究の新たな展開として、リッチ流の特異時間における極限空間の把握とともに、スペクトル収束、スペクトル逆問題などをリッチ流研究と合体させることが可能ではないか、という発想・着想を得ることができた。3次元においてはリッチ流の特異時間における極限空間の把握は局所的には既に得られているので、これを大域化させて、あらだなリッチ流のスペクトル幾何を展開させることが今後の重要な研究テーマとなった。このように当初の研究とは方向性が違う展開とはなりつつあるが、実現性のある興味深い問題にたどりついたことが今年度の研究の収穫といえる。時空間におけるリッチ流と相対論との類似性かおるとすれば、この問題はスペクトル幾何的手法により、相対論における特異点=ブラックホールの特徴づけが可能になる可能性を秘めている、といえるかも知れない。 またHamilton-Perelmanの仕事、その後の球面定理における新展開について、「リッチフローと微分幾何」という題名の一般向けの解説を書いた。これにより、Bohm-WilkingやBrendle-Shoenの球面定理の証明の構造(最大値原理の代数的な展開)を把握できた。これも今年度の今後につながる可能性をもつ研究であった。
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