2009 Fiscal Year Annual Research Report
擬リーマン局所対称空間における離散スペクトラムの構成
Project/Area Number |
20654006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 俊行 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 教授 (80201490)
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Keywords | 不連続群 / ラプラシアン / 擬リーマン多様体 / 局所対称空間 / 分岐則 / Clifford-Klein形 / 等質空間 / 表現論 |
Research Abstract |
ローレンツ多様体のような不定符号をもつ計量の空間に対しては、均質な局所幾何構造から大域的な構造がどのように決定されるか(不連続群の理論)は、今なお大きな謎に包まれている。不連続群による商空間(局所対称空間)の上のスペクトル解析については、ラプラシアンが楕円型ではなくウルトラ双曲型になり、その解析には従来の手法の根本的な転換が必要であり、いまのところ成功した例はない。この萌芽研究では、スペクトラムを具体的に与えることができるような最初の成功例を提示することを目指している。 第一論文では、複素3次元射影空間における不定値ユニタリ群の開集合の開軌道上に、リーマン計量と符号(2,1)の不定値ケーラー計量を構成し、上記の2種類の計量に対応するラプラシアンとウルトラ双曲型の2階の微分作用素の同時固有関数を構成した。この固有空間は無限次元であり、そこには擬ケーラー等長変換群とリーマン等長変換群が作用しており、前者から後者への対称性の破れを記述する分岐則には連続スペクトラムが存在しない。この空間には上記の幾何構造をすべて保つ余コンパクトな不連続群が存在する。さらに、この不連続群を変形した場合に、不動のスペクトラムが無限個あることを発見した。この発見はさらに大きなブレークスルーの萌芽になる可能性があり、現在、その分析を行っている。 また、不連続群に関する現在の知見をまとめた研究概説をアメリカ数学会から出版した(第2論文)。
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Research Products
(6 results)