2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20654010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小澤 正直 Nagoya University, 大学院・情報科学研究科, 教授 (40126313)
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Keywords | 数学基礎論 / 量子力学 / 量子情報 / 哲学 / 科学基礎論 / 量子論理 / 量子集合論 / 様相解釈 |
Research Abstract |
1.古典論理結合子の量子論的拡張:古典論理における論理結合子を完備オーソモデュラー束に基づく量子論理に拡張する方法の一般理論を構築した。量子論理において含意などの論理結合子をどう定義するかについては未解決問題とされているが,この理論により含意結合子の候補の広いクラス(一般含意結合子)について統一的な扱いを可能にした。 2.量子集合論における移行原理:ブール代数値モデルの構成法と同様の方法で完備オーソモデュラー束に替えて量子集合の普遍類を構成し,完備オーソモデュラー束の一般含意結合子の場合に対して,非有界量化記号を含む一般の論理式で表されるZFC集合論の定理をどう変形したら量子集合論で成立するかを示す移行原理を証明した。これによって,量子集合論における移行原理について完全に一般的な結果を確立した。 3.量子集合論における実数の構成:量子論理がフォン・ノイマン代数の射影束の場合,一般含意結合子に対して,量子集合論内部の実数(量子実数)を有理数の切断によって定義し,量子実数の全体がフォン・ノイマン代数にアフィリエイトする自己共役作用素に一対一に対応することを示した。このことにより,一般含意結合子に対して,含意結合子の選択によらずに,量子実数が代数的場の量子論における物理量の概念と同等であることが示された。 4.量子集合論における実数論:実数の順序関係について研究した。すべての一般含意結合子に対して,量子実数の等号関係は同等であるが、一方、順序関係については、含意接続詞によって異なる関係が得られることがわかる。とりわけ、順序関係から可換性が導かれ、様相解釈における所有値の大小関係と同等になる順序関係を導く一般含意結合子が、ただ一つ存在することがわかった。今後、異なる一般含意結合子を用いて異なる量子集合論を展開することは、どのような物理的解釈に対応しているのかを研究する計画である。
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