2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20654015
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉本 充 Nagoya University, 多元数理科学研究科, 教授 (60196756)
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Keywords | 擬微分作用素 / モジュレーション空間 / 特異積分作用素 / 正準変換 / 比較原理 / 定量的解析 |
Research Abstract |
この研究は、正準変換と比較原理という二つの手法を駆使して、偏微分方程式の様々な定量的解析を目指すものである。特にこの研究においては、モジュレーション空間を用いた定量的解析も模索している。既存のLp-空間の代用としてこの新しい関数空間を用いることは、非常に萌芽的な試みである。本年度は、モジュレーション空間論の擬微分作用素論への応用に関する研究、および偏微分方程式論への応用に向けての基礎研究などを行った。具体的な内容は以下のとおりである。 1.擬微分作用素、および擬微分作用素とかけ算作用素との交換子が、L^2有界となる、あるいはトレースクラスに入るためのシンボルの十分条件として、これまでにモジュレーション空間を用いたものとベゾフ空間を用いたものがそれぞれ知られていたが、α-モジュレーション空間の理論を用いることによりこれらを統一的に解釈し、さらには新しい十分条件も見いだした。これらの成果はJ. Math. Anal. Appl.誌およびJ. Anal. Math.誌に掲載された。以上は連携研究者である冨田直人氏(大阪大学)および小林政晴氏(東京理科大)との共同研究である。 2.Grochenig氏(ウィーン大)との共同研究により、ポテンシャル項をもつシュレデインガー作用素のモジュレーション空間上での有界性について議論した。これに関しては証明の方針を検討するにとどまっており、具体的成果に関しては次年度以降の課題とした。 3.Wang氏(北京大学)との共同研究により、非線型分散型方程式の初期値問題においてモジュレーション空間論を用いることの可能性について議論した。これに関しても次年度以降の継続課題とした。
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Research Products
(6 results)