2008 Fiscal Year Annual Research Report
複素力学系の群論への応用:Burnside問題とHopf問題
Project/Area Number |
20654016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松崎 克彦 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80222298)
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Keywords | クライン群 / 極限集合 / 等角不変測度 / 双曲群 |
Research Abstract |
双曲空間に作用するクライン群の複素力学系から,逆にこれらの群のもつ代数的性質を証明する方法を与えることを目標に研究した. 群論におけるco-Hopf問題は自己単射準同型が全射となる条件と問うている.無限群一般に対しては無条件には成立しないことは古くから周知の事実であるが,対象とする群を限定し,成立する条件を探す問題は現在でも多くの研究がある.本研究課題では双曲空間に作用する等長変換群の離散部分群(クライン群)と等長変換による共役で与えられる自己単射準同型に対してco-Hopf問題を考えた.共役による自己単射準同型の存在は,完備双曲多様体が非自明な自己被覆をもつことと同値である. Heinsは,ラプラシアンのグリーン関数を許容しないようなリーマン面は非自明な自己被覆をもたないことを証明した.高次元の場合は,エンドのトポロジー的考察により,幾何学的有限な場合に非自明な自己被覆の非存在が示されている.本研究課題ではHeinsの結果を2方向に拡張した。ひとつは高次元化であり,もうひとつは,Patterson-Sullivan測度(PS測度)という極限集合上の群不変等角測度が一意性をもっような発散型クライン群と呼ばれるものに対して自己共役に関するco-Hopf問題を証明した.証明の方法は,従来からある多様体内部の幾何的考察は行わず,極限集合上のPS測度を用いた.発散型クラィン群のPS測度が,自己相似な部分群により分解できたとすれば,それは発散型クライン群のPS測度の一意性に反する.この議論をPS測度の構成に用いられるボアンカレ級数にまで遡って解析し,正当化することにより証明を完成した.
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Research Products
(3 results)