2008 Fiscal Year Annual Research Report
革新的単光子検出センサーの動的デバイスシミュレーションの創成
Project/Area Number |
20654021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 了 The University of Tokyo, 素粒子物理国際研究センター, 准教授 (60272465)
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Keywords | 光量子 / 検出器 / 電子デバイス / 半導体 / シミュレーション / 素粒子 / 光センサー / 電子工学 |
Research Abstract |
本研究の 本研究の目的は細分化されたピクセル型の光量子検出センサーPPDの基本動作メカニズムを半導体物性に立ち返り理解した上で、その動的な増幅課程を実際のセンサー内の電子・ホールの挙動からシミュレートし、その結果に基づいてそのノイズ特性、口径、量子効率、増幅率において性能を向上させる3次元構造を数値設計・提案できるようにすることにある。H20年度においては、この目的に従って、研究は当初の計画を超え大きな進展があった。まず、基本動作メカニズムの解明に関しては、電子・ホール対の生成、ドリフト、増幅課程を素過程であるimpact ionizationおよび外部クェンチ用抵抗を用いて理解することに成功し、波形を77Kから常温に至る広い温度領域で実測を再現できるようになった。次いで、ノイズの生成に関する機構を解明するために、ノイズを熱励起による通常ノイズ、電子・ホールが格子欠陥に捕獲され再放出されることによる二次ノイズ(アフターパルス)、および増幅課程で発生する光子が隣のピクセルで反応するクロストークの3つに分離し精密に測定することに成功。これにより、それぞれのノイズが持つ電圧依存性が判明し、この測定いをもとに電子およびホール起源の影響を洞察、電子だけでなくホール起源のノイズの発生を抑えることが重要であることが分かった。これらにより、電場配位を改良することでノイズのを大きく抑制することが可能であること、積層コンデンサをバッファとすることで増幅率を向上できる可能性があること、以上2点を示した。デバイスシミュレーションに関しても、実際と近い電場分布をもつ3次元シミュレーションを開始することに成功し、既に降伏電圧の温度依存性など解析を行えるようになった。これらは国際会議での発表、論文発表、日本物理学会をはじめとする国内の多くの研究集会、学会にて発表し高い評価を得ている。
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Research Products
(10 results)