2008 Fiscal Year Annual Research Report
中性子核変換を利用したキャリヤードープの応用による新規物性の探索
Project/Area Number |
20654029
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 和芳 Tohoku University, 原子分子材料科学高等研究機構, 教授 (70133923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
四竃 樹男 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30196365)
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Keywords | 中性子 / 核変換 / 超伝導 |
Research Abstract |
本研究では、低温で直接ドーピングが可能な中性子核変換ドーピング法を、強相関電子系を含むさまざまな物質に応用し、通常の化学的ドーピングでは困難、あるいは不可能なキャリヤードーピングを試みる。またこれにより超伝導や強磁性を含む新機能物性探索を行う。さらにこの方法は、特定の原子が中性子を吸収する際に核反応熱が局所的に発生し、局所構造を変化させるので、ガラスなどと同様に熱非平衡状態を作る可能性もあり、熱非平衡状態下での新奇物性探索の可能性も視野に入れて研究する。初年度はJAEAの3号炉を用いた中性子照射を以下の各試料について行った。 1)ボロンドープしたSiC、2)SiC、3)La2CuO4 1)は適当な条件下で最近超伝導が見いだされた。2)はその母物質ともいえる半導体。3)は銅酸化物超伝導体の母物質で、低温で反強磁性を示す、いわゆるモット絶縁体である。照射後の放射化レベルが予想より高く、管理区域外への持ち出しができなかったため、粉末X線回折実験を各試料について行い、原子構造についてのみ中性子照射効果を調べた。 2)、3)については明瞭な中性子照射効果は、実験誤差の範囲で見いだせなかったが、1)について明瞭な中性子照射効果を見いだした。定量的評価は今後の課題だが、SiCが持っている複数の構造(多型)の存在比率が中性子照射で変化したと解釈される。これは、明らかにボロンが(n,α)反応により中性子を吸収した結果生じた現象であり、通常の化学ドーピングや不純物置換では困難な、La原子のCe置換ができたことが強く示唆される。
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Research Products
(1 results)