2009 Fiscal Year Annual Research Report
ボース凝縮原子気体における新しい量子渦導入法の開発
Project/Area Number |
20654038
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
熊倉 光孝 University of Fukui, 大学院・工学研究科, 准教授 (30324601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 紀夫 福井大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30134654)
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Keywords | ボース凝縮 / レーザー冷却 / 量子渦 / 誘導ラマン効果 / 超流動 / 外部共振器型半導体レーザー / 光周波数安定化 / 原子光学 |
Research Abstract |
これまでの研究で得られた^<87>Rb原子のBose-Einstein凝縮体に対して誘導ラマン遷移を利用した量子渦生成を行うため、Rb原子のD2遷移に近共鳴する波長780nmの半導体レーザー光源(出力10mW程度)の製作を行った。この光学的な量子渦の導入にはRb原子の二光子反跳エネルギー(15kHz)以下の周波数線幅を持つ狭帯域レーザー光を使用する必要があり、昨年度、1.5GHzのFree Spectral Range(FSR)を持つ外部共振器を用いた光帰還法によって半導体レーザーの周波数安定化を試みたが、制御可能な時間が数秒と短いうえに、計測器の問題から数MHz程度の周波数線幅しか確認できなかった。そこで今年度は、回折格子(格子定数1800/mm)による光帰還を併用して周波数制御の安定度向上と継続時間の改善を進めるとともに、光帰還に300MHzのFSR(昨年度の1/5)を持つ共振器を使用して、出力光の更なる狭帯域化を図った。また、狭窄化された周波数線幅を評価するため、分解能30kHz程度のスペクトラムアナライザ(FSR 150MHzの光共振器)を新たに製作し、レーザースペクトルの計測に使用した。今回これらの改良を行った結果、周波数制御の継続時問を数分程度にまで大きく改善することに成功し、実用的な安定度を実現することができた。また、出力光の周波数線幅については、30kHz以下(これまでの1/50以下)にまで狭窄化されていることが確認できた。この線幅の値は渦の導入に使用するには未だ不十分であるが、帰還に用いた共振器の振動や温度変化、気圧変化などによる周波数変動が主な原因であることが分かっており、今後、これらの安定化を進めることで10kHz程度の線幅が得られ、凝縮体への量子渦導入や原子波の位相制御に利用できるものと期待される。
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Research Products
(9 results)