2008 Fiscal Year Annual Research Report
プロペラ形ねじれキラル巨大パイ電子系を用いる分子ローターの開発
Project/Area Number |
20655009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
戸部 義人 Osaka University, 基礎工学研究科, 教授 (60127264)
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Keywords | 分子ローター / ねじれパイ電子系 / 光学分割 / 反転障壁 / 温度可変NMR / デヒドロアヌレン |
Research Abstract |
本研究では、三つのデヒドロベンゾ[14]アヌレン環により構成されるプロペラ形構造をもつねじれキラル三方形分子を「分子ローター」として設計した。まずそれらを合成し、ラセミ化の活性化障壁などの基本物性の調査を行うとともに、STMを用いて固体表面上への吸着と表面上における外部刺激による一方向回転の観測を行い、「分子ローター」機能の検証するを目的としている。 まず3個のデヒドロベンゾ[14]アヌレン環が縮環したねじれパイ電子系の合成を行った。具体的には、中央のベンゼン環に6個のエチニルを導入し、これとブロモエチニルベンゼン誘導体とのクロスカップリングによりヘキサキス(エチニルフェニル)エチニルベンゼン誘導体に導き、最後に分子内の酸化的カップリングにより[14]アヌレン環を形成するという方法で合成した。ヘキサキス置換体の合成が最も困難であったが、反応条件の最適化を行い、再現性よく目的物を得る方法を見出した。目的物は固体状態でやや不安定であるが、結晶にすると安定に保存できる化合物であった。そのラセミ化の活性障壁を見積もるため、温度可変NMRやキラルカラムによる光学分割を試みたが、おそらく環の反転障壁を定量的に決定することはできなかった。さらに、周辺のベンゼン環上にイソプロピル基あるいは(メトキシイソプロピル)基をもつ誘導体を母体化合物と同様の方法により合成したが、これらの場合も温度可変NMRの結果から環反転の障壁を定量的に決定することはできなかった。そこで、より反転障壁が大きいと予想される1,2-ナフタレン環が縮環した巨大プロペラ形分子を合成するため、羽根の部分に相当するヨードエチニルナフタレンの合成を行った。
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