2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20655010
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 昌子 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 教授 (80214401)
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Keywords | 発光性 / 金属錯体 / 3d金属 / シクロメタレート / クロム錯体 / 銅(I)錯体 |
Research Abstract |
d金属錯体は多くの場合発光性を示さないが、金属錯体が発光材料として注目されている今、貴金属を中心とする4d,5d金属錯体でない3d金属錯体の発光性をもっと開拓していくことは、わが国の元素戦略の観点からも重要な意義がある。3d金属錯体の中で、近年、発光性について活発な研究が展開されている銅(I)錯体に加えて、新たな発光性3d金属錯体の構築を目的として、以下の研究を推進した。 1.新規発光性クロム(III)錯体の構築.配位子場が強く、励起状態でも安定なクロム錯体の構築を目指し、2-フェニルピリジンおよびその類縁体を用いて、シクロメタレート型クロム(III)錯体の合成を行った.単結晶X線構造解析によりそれらの構造解明に成功した.また、分光学的な性質を調べたが、いずれも発光性を示さなかった。非対称的な構造に無輻射失活の要因があると考えられ、今後その要因の解明と新規系の構築を行う。 2.d^<10>およびd^8電子系金属錯体(ニッケル(II)錯体、コバルト(I)錯体)の発光性探索.昨年度、π共役系置換基をもつヒドラゾン配位子を用いて銅(I)錯体の合成をした。これらの錯体は、発光性は示さなかったが、単結晶X線構造解析により、配位子の炭素-炭素結合形成を伴うクラスター化が起こることが見出された。一方、ハロゲン架橋Cu(I)複核錯体から強発光性の4核クラスターが生成することを見出し、構造や発光特性を明らかにした。
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