2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20655011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
上野 圭司 Gunma University, 大学院・工学研究科, 教授 (20203458)
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Keywords | シリレン / シラノン / タングステン / 酸化 / イオウ / 三員環 / 錯体 |
Research Abstract |
シリル(シリレン)タングステン錯体Cp*W(CO)2(=SiMes2)(SiMe3)(Cp*=η-C5Me5)と各種酸素供与剤との反応によって、シラノン錯体の合成を試みた。酸素供与材として,トリメチルアミンオキシド、ヨードシルベンゼン,ホスフィンオキシド,酸素,一酸化二窒素等を用いて反応を検討した。その結果,ヨードシルベンゼン,酸素,一酸化二窒素では錯体の分解が起こってしまい,複雑な混合物が生成した。また、シロキサンと思われる化合物の生成が確認されたが,まだ単離同定には至っていない。一方,ボスフィンオキシドは反応しなかった。トリメチルアミンオキシドとの反応では、2種類の錯体が生成する事がわかったが、まだ再現性が充分に取れておらず、今後検討を継続する予定である。 シラノン錯体は金属-酸素-ケイ素三員環構造を持つが,その類縁体として酸素の代わりに硫黄が結合した錯体の合成も試みた。シリル(シリレン)タングステン錯体Cp*W(CO)2(=SiMes2)(SiMe3)と硫黄S8との反応を行ったところ,硫黄2原子が錯体に取り込まれ,金属-硫黄-ケイ素-酸素-炭素-炭素からなる6員環を有するカルベン錯体Cp*(S)W{S-Si(Mes)2-O-C(=O)-C(SiMe3)}が生成した。期待していた3員環チオシラノン錯体は得られなかったががこの反応では,反応中にカルボニル配位子の炭素一酸素結合の切断および組替えが起こっており,非常に興味深い。今後、他のイオウ供与剤、セレン供与剤との反応、モリブデン錯体との反応などに展開していく予定である。
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