2008 Fiscal Year Annual Research Report
NOカチオンを触媒として活用する有機合成反応の開発研究
Project/Area Number |
20655018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 恭弘 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 准教授 (90334341)
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Keywords | NOカチオン / 触媒 / 有機合成反応 |
Research Abstract |
合成反応を効率的に促進する化学触媒の開発は、有機合成化学上重要な研究課題の一つである。本研究では、NOカチオンを触媒として用いる様々な効率的有機合成反応の開発を目的として検討を行った。NOカチオン分子は、有機合成反応においては化学量論量の反応剤として用いられることがあっても、触媒種としての利用は極めて限られている。これらは金属を含まない非金属無機化合物であり、この化学種を有効な触媒種として活用することができれば、有害な廃棄物を伴わない活性触媒となることが期待でき、既存の金属触媒や有機触媒に取って代わるものになると考えられる。本年度の研究では、ニトロンとオレフィンとの[3+2]付加環化反応の検討を重点的に行った。ニトロンとオレフィンとの[3+2]付加環化反応は、置換イソオキサゾリジン環を簡便に合成できる有効な手法である。特に電子供与性置換基を有するオレフィンとの反応はこれまで金属Lewis酸触媒を用いて行われる例が殆どであり、他の触媒を用いた例は報告が少ない。そこでNOカチオンとしてNOPF_6を触媒量用いてニトロンとビニルエーテルとの[3+2]付加環化反応の検討を行ったところ、目的とするイソオキサゾリジン誘導体が高い収率で得られることが分かった。触媒量の低減化の検討を行ったところ、基質に対して0.001当量のNOカチオンを用いた時にも高い収率で目的物が得られた。また、様々な置換基を有するニトロンを用いた時にも高い収率をもって反応が進行進することを明らかにした。一方で、3-ピラゾリジノンとアルデヒドから調整されるアゾメチンイミンとビニルエーテルとの[3+2]付加環化反応が、ニトロンの時と同様にNOカオチンによって効率的に触媒され得ることを見いだした。この反応はピラゾリジン環を効率的に構築する有用な反応の一つであり、興味深いものである。
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Research Products
(2 results)