2009 Fiscal Year Annual Research Report
NOカチオンを触媒として活用する有機合成反応の開発研究
Project/Area Number |
20655018
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 恭弘 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 准教授 (90334341)
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Keywords | NOカチオン / 触媒 / 有機合成反応 |
Research Abstract |
NOカチオンは、有機合成反応おいてはこれまでに化学量論量の反応剤として用いられることがあっても、触媒種としての利用は極めて限られている化学種である。これらは金属を含まない非金属無機化合物であり、この化学種を有効な触媒種として活用することができれば、有害な廃棄物を伴わない活性触媒となることが期待でき、既存の金属触媒や有機触媒に取って代わるものになると考えられる。本年度の研究では、このNOカチオンを触媒として用いる、3-ピラゾリジノンとアルブヒドから調製されるアゾメチンイミンとオレフィンとの[3+2]付加環化反応の検討を重点的に行った。この[3+2]付加環化反応は、置換ピラゾリジン環を簡便に合成できる有効な手法であるが、これまでに電子求引性基を有するオレフィンが主に用いられている一方で、ビニルエーテル等の電子供与性置換基を有するオレフィンとの反応はこれまでに報告が無かった。そこで、このアゾメチンイミンとビニルエーテルとの反応の検討を行ったところ、1mol%のNOカチオン存在下目的の反応が円滑に進行し、高収率、高選択的に目的とする置換ピラゾリジン環化合物を基質一般性良く得ることができた。さらに、得られた生成物の変換反応の検討を行ったところ、この生成物のN,O-アセタール部位にルイス酸を作用させることによって、各種炭素求核剤を反応させ、新たな炭素骨格を導入することができた。また、この生成物のピラゾリジン環の窒素-窒素結合を還元的に切断することにより、大環状ジアミンへと導くことができた。さらにNOカチオンを触媒とするマンニッヒ型反応やアルドール反応、マイケル反応についても検討を行い、何れも良好な収率にて目的物を得ることができた。本研究結果はNOカチオンの触媒としての高い有用性を示す物であり、今後の環境に優しい有機合成の実現に大きく貢献すると考えている。
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Research Products
(1 results)