2008 Fiscal Year Annual Research Report
ポルフィリン環状アレイの高配向集積化による集光アンテナ薄膜の創製
Project/Area Number |
20655023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
浅岡 定幸 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 准教授 (50336525)
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Keywords | 高分子合成 / ナノ材料 |
Research Abstract |
親・疎水ブロックの連結点にポルフィリンを直接導入する手法、および連結点にポルフィリンが配位可能なイミダゾール残基を導入し配位結合を介して導入する手法の二つの導入法について検討した。前者の連結点にポルフィリンを直接導入した共重合体については、ポリエチレンオキシド(PEO)の片末端に重合開始点を有するポルフィリンを導入したマクロ開始剤を合成し、これに液晶性モノマーを重合させる手法を採った。種々の重合条件を検討したところ、M_W/M_N=1.68と分散は多少広いもののブロック共重合体の合成に成功した。後者については、まず同様の手法により連結点にヒスチジンを導入したブロック共重合体を合成し、M_W/M_N=1.28と比較的低分散性の共重合体を得た。しかし、これに亜鉛テトラフェニルポルフィリン(ZnTPP)を加えて配位による導入を試みたところ、平衡により低濃度では100%の導入が困難であることが分かった。 得られたポリマーの水面展開膜を作成し、液晶の等方相転移温度以上で熱処理した後、RuO_4によってPEOドメインを選択染色し、透過型電子顕微鏡によってナノ構造を観察した。前者のポリマーでは多少配列に乱れはあるもののドットパターンが観測された。小角X線散乱(GI-SAXS)の測定結果からも、膜面に対して垂直に配列したシリンダー型のミクロ相分離構造を形成していることが示された。一方後者のポリマーでは、ヒスチジンを導入していないとほぼ遜色のない規則性を有するシリンダー型の相分離構造を与えることが分かった。ヒスチジンのイミダゾール残基へのZnTPPの配位は平衡反応であり、前述のとおり溶液中ではヒスチジン濃度が低いため100%の導入は困難である。しかし、ミクロ相分離構造を形成させた後はPEOとの界面に高密度で配列されているものと考えられることから、薄膜状態にしてからPEOに馴染みの良い親水性のポルフィリンをシリンダー内部に透過させれば、特異的にヒスチジンと配位結合させることができるものと考えられる。
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