2008 Fiscal Year Annual Research Report
生体反応をモニターする強力なツールとしての多重共鳴NMRの利用
Project/Area Number |
20655037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青山 安宏 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (00038093)
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Keywords | 多重共鳴NMR / イメージング / グルコース / ラベル化グルコース / 解糖系 / ピルビン酸 / 乳酸 / NMR |
Research Abstract |
今年度はグルコースをプローブとするがんのイメージングを目的とした多重共鳴の利用について検討し、画期的な成果を得た。全ての炭素とそれに結合した水素を、それぞれ、^<13>C、^2Hに置換したグルコースは細胞(体内)に取り込まれると解糖系の諸反応を経てピルビン酸に変換される。がん細胞(がん組織)は低酸素状態であり、ピルビン酸は優先的に乳酸に還元される。この際、新たに乳酸に^1H-^<13>C-^<13>Cの配列が出現(on)し、これが多重共鳴NMRによって観測可能となる。ちなみに解糖系の中間体は^2H-^<13>C-^<13>Cの配列しかもたないので、多重共鳴NMRでは不活性(off)なので、がんに特徴的な乳酸をon/off型に検出できることになる。実験では、まず培養細胞レベルでピルビン酸から乳酸への変換が多重共鳴で感度よく検出できることを確認し、ついで、担がんマウスを用いた動物実験で尾静脈から投与した二重ラベル化グルコースから生成する乳酸ががん部位において感度よく検出できること、そして肝臓や腎臓、心臓などの他臓器に比べてがん部位において乳酸の選択的な蓄積がみられることを確認した。これらの結果は安定同位体に置換されている点を除けば天然基質をプローブとする多重共鳴法が疾病のイメージングにいかに潜在的な応用性を秘めているかを遺憾なく示すものであり、次年度に大きな期待を抱かせる結果である。なお、この結果はNature Chemistryへ投稿すべく、準備を進めている。
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Research Products
(1 results)