2009 Fiscal Year Annual Research Report
生体反応をモニターする強力なツールとしての多重共鳴NMRの利用
Project/Area Number |
20655037
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
青山 安宏 Doshisha University, 理工学部, 教授 (00038093)
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Keywords | NMR / 多重共鳴NMR / 代謝 / 分子イメージング / コリン / アセチルコリン / グルコース / 乳酸 |
Research Abstract |
ラベル化グルコースを用いる癌のイメージング(代謝生成物である(ラベル化)乳酸の癌部位における多重共鳴NMR検出)に関しては担癌マウスを用いた検討を行い、他臓器に比べて癌部位に選択的に乳酸が検出されるなど、良好な結果を得た。詳細は投稿中である。 ラベル化コリンの癌細胞への取り込み(ラベル化コリンおよびリン酸化コリンの多重共鳴NMR検出)に関しては、取り込み量の初期濃度依存性と培養時間依存性の検討を行い、細胞内で速やかに定常濃度が達成されることを確認した。なお、取り込まれたコリンはリン酸化され、その後細胞膜脂質であるレシチンに変換される。この際、膜形成による"高分子化"によりNMRシグナルがブロードになり、検出できなくなることも明らかになった。今後のプローブ設計指針として重要な知見である。 また、新たにウラシルの代謝に着目し、ラベル化ウラシルを合成した。ウラシルは体内でβ-アラニンに変換される異化代謝経路が知られており、その活性がウラシル系の抗癌剤(典型的にはフルオロウラシル)の副作用と関連するとされている。ラベル化コリンをマウスに投与すると肝臓においてβ-アラニンへの異化代謝が進行し、これを多重共鳴NMRで容易に検出できることが明らかになった。抗癌剤の副作用の程度を予測する新手法として興味深い知見である。 その他、アセチルコリンの酵素(アセチルコリンエステラーゼ)加水分解やアミノ基転移反応なその重要な酵素反応が多重共鳴NMR法により簡便にモニター可能であることも判明した。
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Research Products
(1 results)