2008 Fiscal Year Annual Research Report
層状リン酸ジルコニウムと及びその有機誘導体の新規な化学的合成ルートの開発
Project/Area Number |
20655047
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
菅原 義之 Waseda University, 理工学術院, 教授 (50196698)
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Keywords | 層状リン酸ジルコニウム / 錯体重合法 / ケミカルプロセス / 無機工業材料 / 層状・層間化合物 / イオン交換体 / 無機合成 / ハイブリッド材料 |
Research Abstract |
錯体重合法により層状リン酸ジルコニウム(ZrP)を合成することを目的として実験を行った。オキシ塩化ジルコニウム[ZrOCI2・8H20]、クエン酸(CA)、エチレングリコール(EG)に加え、リンのソースとしてホスホン酸[H3PO3]、リン酸[H3PO4、crystal]、リン酸二水素ナトリウム[NaH2PO4]をそれぞれ用いて前駆体である高分子ゲルを合成し、水熱反応による合成を試みた。仕込み比はZr:P:CA=1:2:3とし、反応温度は150度、反応時間は48時間の条件で行った。IR測定により前駆体の分析を行ったところ、脱プロトン化されたカルボキシル基由来による2つの吸収帯が観測されたことから、前駆体中においてZrイオンはCAにより錯化されていると考えられる。TG測定からも有機成分(CAおよびEG)の存在が確認された。水熱反応後、XRD分析より全ての試料においてブロードな回折線が観測され、試料は層状構造を持たないアモルファスZrPであると示された。また、CAのみを有機成分として実験を行った場合、ホスホン酸を用いた場合は反応後CA由来の回折線のみが観測され、結晶性のZrPの生成は認められなかった。リン酸二水素ナトリウムの場合は、反応後CAの回折線は観測されず、アモルファスZrP由来のブロードな回折線が観測された。一方、リン酸の場合は、反応後d=0.8[nm]の位置に回折線が観測された。α-ZrPの層間距離(d)が0.76[nm]であること、他の回折線の位置もα-ZrPに観測される主要な回折線の位置に一致していることから、α-ZrPが生成し始めていると考えられる。以上のことより、CA存在下での反応は有効であると考えられ、今後反応条件を変化させていくことにより、より結晶性の高い生成物が得られると思われる。
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