2009 Fiscal Year Annual Research Report
電場環境下でのπ共役系高分子の相転移ダイナミクスの解明
Project/Area Number |
20655049
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
浅川 直紀 Gunma University, 大学院・工学研究科, 准教授 (80270924)
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Keywords | π共役系高分子 / ポリアルキルチオフェン / ポリアルキルチアゾール / 電場印加 / NMR / 相転移 / 分子ダイナミクス / 有機デバイス |
Research Abstract |
本研究は固体核磁気共鳴(NMR)緩和スペクトロスコピーによって、電場によってバイアスされたπ共役系高分子の相転移ダイナミクスを実験的に明らかにすることを目的として研究を行った。印加される電場は、環境情報センサからの入力を想定しており、環境変化に対して柔軟に応答する中枢神経系に似たアトラクター選択デバイスへの応用を見据え、電場の変化が分子系の構造ゆらぎに与える動的な影響を実験的に評価することを目的として研究を行った。 平成21年度には、平成20年度に作製した、有機薄膜の核磁気共鳴の観測が可能な検出器を用いて、ポリ(3-アルキルチオフェン)[PAT]の単一薄膜の固体プロトン核磁気共鳴信号の検出を試みた。スピンコート膜の膜厚は、多くの場合約100ナノメートルであるため、2cmx2cm程度の大きな膜面積をもつサンプルに対してNMR測定が可能となるように工夫し、プロトンNMR測定を行った。この場合、50マイクログラムのサンプル質量となる。このとき、プロトンスピン数は3x10^<18>個程度になり、電磁誘導による通常の核磁気共鳴法による信号の観測が可能であった。さらに、スピンエコー実験や反転回復法によるスピン格子緩和時間測定も可能であることもわかった。ただし、ソーダ石灰ガラス基板を用いた素子の場合には、ガラス基板に含まれるシラノール基の水酸基プロトンと思われる信号が存在するため、NMR測定には適さなかった。その代わりに、硼珪酸ガラスを用いた方がバックグラウンド信号が少なく、また、高分子へのナトリウムイオンドープが起こらないことから、デバイス素子のNMR測定には適していることが分かった。それと並行して、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)の温度可変固体高分解能^<13>CNMRスピン格子緩和測定を173-373Kの温度範囲で行い、分子運動に関して議論し、可視光吸収特性との関係を明らかにした。
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Research Products
(3 results)