2008 Fiscal Year Annual Research Report
DNA自己組織化分子アレイを用いたナノスケールホッピング伝導デバイス
Project/Area Number |
20656005
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 卓也 Osaka University, 産業科学研究所, 准教授 (50229556)
|
Keywords | 分子デバイス / ホッピング伝導 / 巨大錯体 / DNA / 自己組織化 |
Research Abstract |
チトクロムcと金電極の接合において、自己組織的な界面形成を行い、その電子的性質を明らかにした。チトクロムcはヘム鉄の酸化・還元を用いた電子輸送が期待できる。しかし、金電極に接したチトクロムcは、表面吸着エネルギーにより、フォールディングが解けてしまい、機能が失われる。 そこで、金表面に自己組織化単分子膜を導入して、表面吸着シトクロムcの変性を防ぎ、チトクロムc単分子の電気伝導特性について研究した。 自己組織化膜には、2-ピリジンチオール、4-ピリジンチオールを用いた。金電極にこれらの分子の自己組織化単分子膜を形成することで、サイクリックボルタンメトリーで、チトクロムcの酸化・還元ピークの得られることがわかっている。また、これらの自己組織化膜との対照実験を行うために、n・ヘキサンチオールを用いた実験も行った。伝導性カンチレバーを用いた原子問力顕微鏡測定により、電流-電圧特性の計測を行った。このとき、金コートカンチレバーを用い、表面は基板と同様に自己組織化単分子膜による表面修飾を行った。 実験の結果、疎水性の強いn-ヘキサンチオールで金表面修飾を行ったときには、意味ある電気特性は全く得られなかったが、2-ピリジンチオールのときには、0.5V、4-ピリジンチオールのときは、1Vで明確な立ち上がりを観測した。この結果から、チトクロムcの酸化・還元準位を経由した電気伝導は、クーロンプロッケイドのような特性を示すことがわかった。また、自己組織化膜の二層とチトクロムcの直径を合わせた距離を考えると、単純なトンネルリングでは、観測電流は観測限界以下となると見込まれる。しかしチトクロムcのヘム鉄が電子トンネリングの中継点となるダブルトンネリングを考慮すると、得られた電流値は極めて合理的であることを示した。
|