2008 Fiscal Year Annual Research Report
インクジェット印刷法によるテラヘルツ領域三次元メタマテリアルの実現
Project/Area Number |
20656010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
五神 真 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (70161809)
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Keywords | フォトニック結晶 / プラズモニクス / メタマテリアル / テラヘルツ |
Research Abstract |
本研究は、インクジェット印刷技術を用いて作製した多層人工構造によってテラヘルツ電磁波領域における三次元メタマテリアルを実現し、そのテラヘルツエリプソメトリー解析を行い、テラヘルツ領域における機能光学素子の開拓を行うことを目的とする。初年度においては、三次元化に向けた要素技術として、単層のキラルアレイ構造のメタマテリアル作製に取り組んだ。加工技術の点では、インクジェットプリンティング技術で作製可能な最小幅を、旧来の数十ミクロンから5ミクロン以下にまで大幅に微細化し、なおかつ数センチ四方の大面積にわたってキラルアレイ構造を作製することに成功した。線幅の微細化が達成されたことによって、THz領域で動作可能なメタマテリアル設計の自由度が大幅に向上した。また、時間領域差分法を用いた数値計算によって、透過スペクトルや近接場電場分布をシュミレートすることが可能になり、これを利用することで構造設計を効率的に進めることが可能になった。さらに、三次元メタマテリアル実現へ向けた第一歩として、単層キラルアレイ構造を二層に積層させることにより、構造の三次元的なカイラリティーの効果による旋光性の発現を試みた。この積層キラルアレイ構造に対して、テラヘルツ時間領域分光測定法を用いたテラヘルツ電磁波の偏光回転計測を行ったところ、最大30度にも達する大きな旋光性が観測されることがわかった。その発現波長に関しては、シュミレーションによって予想される結果と良く一致している。これは、インクジェットプリンティング技術を用いて作製したメタマテリアルが、確かに三次元的な効果を有する人工工学素子として動作することを示す結果である。試料作製の際に生じてしまう構造の異方性の除去が現在の課題であるが、次年度以降、構造の最適化によってこの問題を解決し、さらなる多層化による三次元メタマテリアルの実現につなげていく。
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