2008 Fiscal Year Annual Research Report
共通情報と個別情報を安全に伝送するネットワーク符号化法に関する研究
Project/Area Number |
20656061
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 博資 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (30136212)
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Keywords | ネットワーク符号化 / 情報理論 / 暗号理論 / グラフ理論 |
Research Abstract |
20年度は,下記の研究成果を得た. 1.ネットワークを通して,1つの情報源点から2つ以上の受信点に同じ情報を伝送するマルチキャスト通信において,盗聴者がk本の通信路を盗聴しても,情報が全く漏れない線形ネットワーク符号化法が知られている.しかし,従来の符号化法では,k+1本以上通信路が盗聴されると,情報の一部が完全に盗聴者に知られてしまう可能性がある.これに対して,k+1本以上盗聴されたときに,秘密情報の曖昧さが盗聴される通信路数と共に減少するものの,情報のどの部分も完全には漏れない「強安全な線形ネットワーク符号化」の概念を新たに定義し,その安全性を達成するための符号化手順を与えた.また,安全でない線形ネットワーク符号が存在するときに,伝送する秘密情報を線形変換することにより,強安全な線形ネットワーク符号に変換できることを示した.さらに,その変換を行なうための具体的な手法を与えた. 2.上記の1では,複数の受信点に対して同じ情報を送るマルチキャスト通信を考えたが,同じ情報(共通情報)に加えて,それぞれの受信点に個別情報を送ることができる.1つの情報源点と2つの受信点を有する任意に与えられたネットワークに対して,共通情報と個別情報の伝送可能な容量領域を理論的に導出した.さらに,残余ネットワークの概念を用いて,その容量領域を求める具体的な計算アルゴリズムを与えると共に,その限界を達成できる具体的な線形ネットワーク符号化手法を考案した.
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