2008 Fiscal Year Annual Research Report
低コストなセンサーネットワークを用いた斜面地盤の水理特性(集水・排水)の評価
Project/Area Number |
20656077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内村 太郎 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 准教授 (60292885)
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Keywords | 斜面災害 / リスク評価 / モニタリング / 地下水浸透 / 数値モデル |
Research Abstract |
現在の自治体などによる降雨による斜面崩壊の警報発令・解除の基準は、個別の斜面の特性を考慮せず、地域単位で、雨の強度と持続時間の関係から経験的に作られている。個別の斜面ごとに特性を評価しておけば、豪雨時により細かい防災対応がとれる。そこで本研究では、豪雨ではない通常の降雨による土壌水分量の変化を常時モニタリングしておき、そのデータを用いて豪雨時の斜面の集水、排水過程を推定する方法について検討した。 円柱状の1次元地盤模型を作成し、上端から様々な強度と長さの雨を降らせることで、模型の3箇所の深さにおける水分量と間隙水圧の変動を測定した。模型地盤の下端は低水位面に浸して一定の地下水面へ排水する状況を作った。同一の地盤条件、同一の位置であれば、雨の強度、強さにかかわらず、降雨終了後の排水の速度は、そのときの水分量によって一意に決まっていた。さらに、異なる地盤条件や位置であっても、排水過程での土壌水分長〜時間の関係のグラフは、時間を適切に縮尺することで互いに一致した。そこで、一定の水分が排水するのにかかる時間を比較することで、地盤条件や位置による排水性(水はけの良さ)を定量的に指標化して評価する方法を提案した。 さらに、斜面の土壌水分量を低コストで効率よく測定する方法として、地盤内の音波の伝わり方を使う方法について検討した。不飽和土中の弾性速度は、飽和度が高くなるほど遅くなる傾向があり、圧電素子を使った安価な振動センサーを開発して、これを測定する模型実験を実施した。 今後は、2次元斜面模型での実験や十斜面での長期計測などで同様に降雨パターンによらない排水曲線が得られるか検証する。また、降雨開始からの時間に対して、水分量が増加する速さを表す「集水性」の指標についても検討する。
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Research Products
(2 results)