Research Abstract |
本研究は, ICT/ITSを活用し, 利用者の手を煩わせない"intelligent"なシステムによって通行権取引制をimplementする方法を提案する. より具体的には, 各車両の車載器に装備された"agent software"(AS)が, 利用者の代わりに経路・時刻の選択及び, 電子市場("e-Market")での通行権売買を自動的に実行するシステムを想定する. この提案システムの核となる要素は, (i) ASが通行権取引を実行するe-Marketの売買取引ルール, 及び, (ii) 自律分散的に動作する個々のASの戦略決定ルールである. 本研究の目的は, 上記システム設計問題に対して, 以下の1)-3)の特性を満たしたルール群を提示し, その理論的特性を検証することである : 1)個々のASの自律性, 2) AS行動ルールの簡潔性, 3) AS群行動ダイナミクスの安定性.平成20年度の研究では, ODペア間のボトルネック通過回数が1回のネットワークを対象として, 上記条件を満たし, かつ社会的最適状態を実現しうるメカニズムを提示した, より具体的には, (i)のe-Market取引ルールに関しては, Vickrey-Clarke-Grovesメカニズムに基づくオークション理論の枠組を活用し, "strategy-proof"(i.e.各agentが正直な評価をbid価格として表明することが支配戦略となる)であり, かつ, "efficient-allocation"を達成しうる複数の市場取引メカニズムを構築した. また, (ii)のAS行動ルール及びシステム全体挙動を包括的に記述する枠組として, 進化・学習ゲーム理論に基づいたモデル(Perturbed Best Responseモデルに基づく交通流・通行権市場の進化的ダイナミクス)を構築し, そのday-to-day dynamicsが社会的最適状態に収束することを証明した.
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