Research Abstract |
首都圏の鉄道ネットワークは高密度であり,このような状況では,同一の発着駅間において複数の利用可能な経路が存在し,鉄道利用者は多様な経路選択が可能となっている.一方,多くの鉄道経路検索webサイトが開設され,多くの人々が移動前の経路探索ツールとして利用しており,交通行動への影響は無視できないと言える.そこで本研究では,まず,鉄道経路探索Webサイトの検索ログを分析する事によって,その利用状況を把握し,利用者像や利用状況の特徴付けを行った.また,発着駅の地域的分布について既存の公共交通行動のデータと比較を行い,違いを明らかにした.さらに検索回数と移動までの余裕時間から,検索と実際の交通行動の関係について考察した.その結果,Webサイト利用者像の特徴として,休日の利用に比べ平日の日中の利用が非常に多くなる傾向が見られた事,また,実際の交通行動データとして大都市交通センサスのデータと比較検討を行った結果,一般的な交通目的の移動形態とは少しずつ異なっていることがわかった.また1経路当たりの検索回数,余裕時間の検討を行った結果,Webサイト利用者は目的地までの所要時間や費用の検索,乗換えや乗換え回数の検索など,経路の情報検索は行うが,実際に自分が行動する時刻まで設定した検索を行い,検討する人は意外に少ないと推測された.続いて,鉄道経路探索Webサイトと連携した独自のweb調査を行った.その結果,移動目的では仕事が3割,私用が5割などを占めていること,大多数の利用者が出力された検索結果の中で最初に出力される「経路1」を自らの利用経路として選択していること,携帯電話をメインとして経路検索をする人の割合は少なく,移動中や外出先で用いるといったあくまでPCによる経路検索の補助としての役割を携帯電話による経路検索は担っていることなどが明らかになった.
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