2008 Fiscal Year Annual Research Report
次世代地震動予測のための現象説明能力と予測能力の分離・定量化とその工学的応用
Project/Area Number |
20656085
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高田 毅士 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (10302762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 良二 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (60011160)
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Keywords | 現象説明能力 / 予測能力 / 事前予測 / 事後評価 / 強振動予測手法 / 統計的グリーン関数法 / 断層モデル / 工学的応用 |
Research Abstract |
本研究の目的は、地震動予測手法の現象説明能力と予測能力の違いを明らかにする事である。具体的には、地震発生後の情報を用いた事後評価・現象説明能力とその情報を遮断した事前予測・予測能力を比較する。 2008年度では、統計的グリーン関数法を用いて福岡県西方沖地震の事前予測・事後評価の違いを検討した。様々な震源特性のうち、断層長さと断層幅、断層面積のみが確定的に得られているとし、その他のパラメタはバラツキを考慮して推定し、設定した。その解析結果では、事前予測では地震動最大振幅値PGAは、平均から最大・最小で3倍・1/3倍もものバラツキがある事がわかった。事後評価に関する既往研究は多々存在するが、それらの結論では簡易的な予測手法である距離減衰式でさえ2倍・1/2倍程度、統計的グリーン関数法や経験的グリーン関数法などの強振動予測手法が進歩すれば将来的には1.5倍・1/1.5倍程度のバラツキに収まるといわれている。これらの結論と比較して考えると、本研究結果より震源情報のごく一部しか判明していない事前予測では、非常に大きな不確定性が存在する事が明らかになった。このことは地震発生後にしか得られない情報を用いてバラツキを減らすという現在までの理学的な研究だけでは不十分である事を定量的に示しており、地震発生前に建築物を設計しなければならないという工学的応用を考える上で新しい地震動予測手法のあり方の方向性を示すものである。
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