2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20656098
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 博之 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (00011221)
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Keywords | 青山通り / 表参道 / 長井長義 / 都市文化 |
Research Abstract |
本研究のための基本的データ、地区情報の収集につとめた。その一番の成果は、青山地区に拠点をもつ研究者とのネットワーク形成を果たしたことである。具体的には青山学院大学総合文化政策学部に所属する、多面的な研究領域にまたがる研究者との情報ネットワークの構築である。都市社会学、経済史学、情報文化論、サウンドスケープ、都市数理解析、思想史などの専門研究者との協力体制が、今後の分析にとってきわめて有効なものとなろう。 青山地区についての考察は、青山通りを中心とする地区、表参道を中心とする地区、青山墓地に隣接する地区、国学院大学に隣接する地区、金王神社周辺の地区など、さまざまな地区に及ぶこととなった。それぞれの地区がどのような歴史的構造に由来するものなのか、どのような層を形成しているものなのか、それらは将来にたいしても影響力をもつものであるのか、さまざまな分析が今後継続される。 つぎに地区の歴史的分析の視点として、この地区に大土地所有者として足跡を残した明治期の薬学者長井長義の存在を知ることができた。彼はわが国薬学の近代化に対する功績の大きな研究者であるが、新しい知識の所有者であるが故に、都市にたいして先見の明をもった投資・開発を行った。こうした例は、彼以外にもこの時期、他にも散見される。歴史学者の久米邦武、林学者の本多静六らも、長井長吉とならぶ都市地主であったが、こうした形での都市開発の共通性を考察することもテーマの一つとなろう。 長井の所有地は金王神社周辺であったが、この地区は青山通りとは明らかに異なった性格をもつようである。また、青山通りの北側に関しても、何カ所かの性格をことにする地区が認められた。それぞれの区は過去における所有関係の違いを反映した現状を見せているを考えられる。現代の都市文化の先端的存在である青山地区が、過去の歴史的発展の経緯によって、どのような違いをもつかを、今後分析してゆく。
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