2009 Fiscal Year Annual Research Report
金属酸化物の化学結合のエネルギースケールでの表現と量子材料設計への展開
Project/Area Number |
20656101
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森永 正彦 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 教授 (50126950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯川 宏 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50293676)
吉野 正人 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教 (10397466)
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Keywords | 原子化エネルギー / 金属酸化物 / 化学結合 / 材料設計 / 電子構造 |
Research Abstract |
金属酸化物は、超伝導、プロトン伝導、磁性、強誘電性など多様な物性を示す物質群であり、多様な化学結合を有している。昨年に引き続き、金属酸化物の化学結合をエネルギースケールで理解するために、「酸化物の原子化エネルギー図」を作成した。そして、多価数・電子状態、結晶構造、相変態の3点に対象を絞り、次の観点から調べる。本年度は、計算する金属酸化物の数を増やし、酸化物の一般側について検討した。 1.多価数・電子状態 遷移金属の酸化物において、遷移金属イオンの価数は種々に変化すし、物理的、化学的性質が変化する。この多価数・電子状態の違いを原子化エネルギーの立場から明らかにした。 2.結晶構造 多くの金属酸化物の結晶構造単位は、MO_4四面体、MO_6八面体であり(M:金属イオン、O:酸化物イオン)。頂点、辺、あるいは面を共有して、酸化物の構造ができあがっている。この酸化物構造の成り立ちを、構成原子のエネルギーを用いて理解できることを示した。 3.相変態 多くのペロブスカイト型酸化物(AMO_3)において、MO_6八面体が回転することにより、ある温度で相変態が起きる(例:SrTiO_3)。全エネルギーの計算のみでは、この相変態を理解することは難しく、フォノンモードの計算が行われている。本研究では、回転に伴うA、M,O各イオンのエネルギーの変化に注目することによって、相変態のメカニズムを明らかにすることができた。
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