2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規酸素吸着剤としてのペロブスカイト型酸化物の調製と特性評価
Project/Area Number |
20656104
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三浦 則雄 Kyushu University, 産学連携センター, 教授 (70128099)
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Keywords | 機能性セラミックス / ペロブスカイト酸化物 / 酸素分離 / 圧力スイング吸着法 / 酸素吸着剤 / PSA / 複合酸化物 / ヨードメトリー |
Research Abstract |
本研究では、圧力スイング吸着(PSA)法による高効率な酸素製造のために、従来の酸素吸着剤よりも大幅に優れた特性を有している可能性があるペロブスカイト型複合酸化物を新規酸素吸着剤として取り上げる。具体的には、種々の組成のペロブスカイト型酸化物試料を調製し、結晶構造、物性、酸素吸着条件の最適化を行うとともに、圧力スイング吸着特性の評価等を行うことを目的として研究を進め、本年度は以下のような成果を得た。 1)試料調製と構造決定:低温での作動を目指して、Ba-Fe系ペロブスカイト型酸化物のBサイトの一部をInで置換した試料(BaFe_1-xInxO_3-δ(0≦x≦0,2))を、各構成金属の硝酸塩水溶液を蒸発乾固させた後、仮焼、本焼成を行うことで調製した。XRD測定の結果、x=0の試料は六方晶ペロブスカイト型構造を示したが、x=0.01では六方晶構造が腔れ、x=0.02から三斜晶構造を示した。In置換率をさらに増加させたところ、0.05≦x≦0.2では単相の立方晶構造を示すことがわかった。 2)調製試料の最適酸素吸脱着条件の検討:各試料について、250℃での可逆的酸素吸着量の組成依存性を調べた。その結果、Inを全く置換しないx=0の試料では酸素吸着量は低い値を示したが、Inを置換することで酸素吸着特性が大きく改善されることが分かった。特に、Inをx=0.02だけ微量固溶させた試料で、9.11cm^3/gというかなり高い可逆的酸素吸着量が得られた。 3)調製試料の物性評価:各組成試料について、酸素吸着後および酸素脱離後のそれぞれの酸素含有量(3-δ)をヨードメトリーにより調べた。その結果、x=0.02の試料では酸素吸脱着後の酸素含有量の差が0.19と最も大きいことが分かった。この結果を用いて可逆的酸素吸着量を算出したところ、9.05cm^3/gという値が得られ、上記の可逆的酸素吸着量とよく対応していた。
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