2008 Fiscal Year Annual Research Report
溶解析出・自己形成による太陽電池用ナノ微粒子酸化物光電極の作製
Project/Area Number |
20656124
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松尾 伸也 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (90029299)
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Keywords | 太陽電池 / 光電極 / 自己形成 / セラミックス / 銅酸化物 |
Research Abstract |
本研究の目的は色素増感太陽電池への応用を目指し、酸化物半導体の溶解析出による自己形成の機構を応用して、銅系酸化物のナノ粒子およびチタン系酸化物のナノ粒子を析出させてPN接合を試みることである。本年度はバルク試料組成としてxCeO_z-(1-x)ZrO_2系(x>0.5)を選択して、CuOおよびTiO_2の溶解と析出を調べた。CuOは母相xの全組成範囲で焼鈍するだけでは溶解は認められなかった。しかし、種々の第三元素を添加して調査すると、Snを添加してさらに700℃から1100℃の範囲での酸化と還元を繰り返すとCuOは次第にバルク中に微細に細かく分散溶解することが分かった。TiO_2は母相との間でCe_2Ti_2O_7,Ce_2TiO_5,あるいはCe_2TiO_6なる化合物を作り溶解しない。しかし2種類のCaF_2構造が混在する準安定な母相の組成においては、TiO_2を添加した後に母相表面に遷移金属の酸化物粒子を乗せて還元酸化を繰り返すとTiO_2は母相に溶解するという、一見すると奇妙な新規な現象を見出した。CuOとTiO_2のいずれの場合においても、1000℃以上の酸化雰囲気で焼鈍するとCuとTiを含む酸化物の微細な粒子が析出した。このように、母相の組成と組織の制御、および酸化還元雰囲気の制御を行うことにより酸化物ナノ粒子を析出できる可能性のあることが分かった。チタン系酸化物についてはCeO_2-ZrO_2系以外の母相においてのナノ粒子の析出を試みた。バルク化合物としては種々の不純物を添加したIn_2TiO_5を固相焼結法により作製し、次に酸化あるいは還元を行ったところ、In_2O_3粒子の析出が認められたがTiO_2は析出しなかった。上記2種類の母相を用いた系の実験によって、溶解した酸化物成分を析出させることにより酸化物ナノ粒子が生成する原理の正しさが示された。
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