2009 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスプロモーターからの外来遺伝子発現に対する糖の促進効果に関する研究
Project/Area Number |
20656138
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
荒尾 雄二郎 Okayama University, 大学院・保健学研究科, 教授 (40151146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
難波 ひかる 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20273972)
木村 美幸 岡山大学, 大学院・保健学研究科, 助教 (60346418)
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Keywords | 糖 / 糖鎖 / 外来遺伝子 / ウイルスプロモーター / 一過性発現促進 / 細胞周期 / 転写活性化 / 緑色蛍光蛋白質 |
Research Abstract |
1 外来遺伝子発現に対する糖鎖の促進効果 プルランを代表例として、CV-1細胞でのCMVプロモーター制御EGFP遺伝子の一過性発現に対する糖鎖の効果を調べると、濃度依存的に遺伝子発現を増加させ、12%で最大の効果を発揮した。プルラン以外の糖鎖である酵母マンナン、デキストラン、フルクトオリゴ糖、コンドロイチン硫酸でも有意な遺伝子発現増大効果が観察された。これらの知見は、本研究の応用性を広げるとともに、生物現象との共通性を示唆する点で重要である。 2 ヘキソーストランスポーター(GLUT)が糖センサーであるか否かの検討 GLUTを介して取込まれる蛍光グルコース類似体(2NBDG)を各種の糖の存在下でCV-1細胞に2時間取込ませ、2NBDG取込み量と各糖の外来遺伝子発現促進効果を比較したところ、糖濃度が100、500mMいずれの場合でも両者は相関しなかった。従って、GLUTは糖の遺伝子発現促進効果のセンサーではないと推定された。 3 阻害剤等を用いた糖の促進機構の解析 促進効果の高いラクチュロースと各種阻害剤を(1)の評価系で同時に作用させ、阻害剤の影響を検討した。ラクチュロースによる遺伝子発現増大は、G1阻害剤とG1/S阻害剤で低下し、G2/M阻害剤で相加的に増大した。従って、細胞周期、並びにそれ以外の因子の関与が推測され、その機構を解明する上で重要な手掛かりとなる。 4 糖添加後早期における細胞内遺伝子発現状態の解析 糖刺激早期(糖添加1時間後)におけるmRNAをマイクロアレイ法で解析した。その結果、RNAのスプライシング、結合、加工、代謝、並びにmRNAの代謝が活性化され、クロマチン、蛋白質-DNA複合体、及びヌクレオソームの集合状態が低下していると示唆された。添加後1時間以内にDNA構造体の乖離と転写の活性化が誘導されるというこの示唆は、その機構解明に大きな意義をもつ。
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Research Products
(1 results)