2008 Fiscal Year Annual Research Report
種子の脂質含量制御因子群の単離〜オレオシンを利用した新技術の開発と応用〜
Project/Area Number |
20657011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西村 いくこ Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (00241232)
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Keywords | 貯蔵脂肪 / オレオシン / オイルボディ / 種子 / 形質転換体 / GFP / 選抜マーカー / 組み換え植物 |
Research Abstract |
最近,石油燃料に頼らないエネルギー源としてバイオエネルギー,即ち植物が生産する資源に注目が集まっている.その一つに,種子の貯蔵脂肪がある.本研究では,油糧種子において脂質の集積を制御している因子の単離を目的として,このような生理機能遺伝子の効率的な単離のための新技術の開発を行った.オレオシン(脂肪を蓄積しているオルガネラ・オイルボディの膜タンパク質)とGFPの融合タンパク質を発現する種子が緑色蛍光を発するという発見に基づいて薬剤を用いない形質転換体の選抜方法の確立を行った.具体的には,オレオシンのプロモータにGFP融合型オレオシンをつないだDNAコンストラクトが遺伝子組み換え体の選抜マーカーとして有効であるか否かを検討するため,本コンストラクトと目的の遺伝子と薬剤耐性遺伝子をもたせたDNAコンストラクトをシロイヌナズナに導入した形質転換体を3ライン確立した.ラインのT2世代の種子をジェノタイピングにより,ホモ,ヘテロ,野生型の3群に分類すると同時にそれぞれの群に属する種子の蛍光強度を測定し,複数の個体につき,遺伝子型と蛍光強度の相関を調べた.その結果,1%以下のfalse discovery rateで蛍光強度を指標としてT2種子集団からホモ種子を選抜できることが分かった.また,T1世代の種子集団からヘテロラインを選抜することも可能であることも判明した.マーカーとして用いているGFPは,発芽後速やかに消失することも確認できた.これらの結果から,オレオシンーGFPが薬剤を用いない「高速かつ効率的な選抜マーカ」として有効であることを示すことができた.この成果は,国内特許として出願済みであり,現在海外特許出願の手続き中である.また,学会発表を行うとともに学術誌への論文投稿を行った.
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