2010 Fiscal Year Annual Research Report
低分子と受容体の相互作用を基盤とした霊長類フェロモン受容機構解明の試み
Project/Area Number |
20657044
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今井 啓雄 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (60314176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 慶子 岡山理科大学, 理学部, 教授 (90135616)
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Keywords | 霊長類 / 嗅覚 / 分子生物学 |
Research Abstract |
マーモセットやキツネザルの嗅覚受容体の遺伝子配列解析に加えて、フェロモン受容体と考えられているV1Rの遺伝子配列解析を重点的に行った。公表されているコモンマーモセットのゲノム中には7個のV1R遺伝子が存在する。これらはV1R1~7と名付けられているため、それぞれについて8個体のゲノムDNAからPCRによって増幅した遺伝子配列を解析した結果、それぞれの配列にほとんど多型は観察されなかった。このことから、遺伝子の機能は保たれていることが推測された。そこで、フェロモン受容に関わっていると考えられている鋤鼻器(Vomeronasal Organ)にこれらの受容体が発現しているかどうかを、リアルタイムRT-PCR法により検討した。その結果、7つのV1Rのうち1つ(V1R7)のみが特異的に発現していることがわかった。そこでさらに、リガンドとの関係を検討するために、V1R7のHEK293培養細胞での発現を試みた。味覚受容体で成功している細胞内輸送に効果的なソマトスタチン受容体タグ(sstR)をN末端に付加し、発現の確認と精製を行うためにC末端のロドプシン抗体認識タグを付加した発現ベクターを用いた。しかしながら、ウエスタンブロットによる解析の結果、このタンパク質は細胞膜には運ばれず、培養細胞表面でのリガンド結合アッセイには不向きであることがわかった。そのため、生殖工学的実験系やリガンドの分離系の整備を行ったが受容体との関連を調べるまでには至らなかった。
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