2008 Fiscal Year Annual Research Report
植物の胚発生過程におけるイノシトール高次リン酸化合物の役割
Project/Area Number |
20658002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 薫 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (70183994)
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Keywords | フィチン酸 / イノシトールリン酸 / イノシトールピロリン酸 / 発生・分化 / 胚発生 / 植物 |
Research Abstract |
動物細胞において様々な生理作用を持つイノシトール高次リン酸化合物の植物における機能を明らかにするため、代謝経路やそれに関わる酵素遺伝子群を明らかにすること、生理現象のうち特に胚発生における役割を明らかにすることを目的として実験を計画した。 1. KCS1ホモログの単離イネ完全長cDNA酵母発現用ライブラリーを用いて酵母遺伝子破壊株kcs1の生育を相補するイネ遺伝子をスクリーニングした。約27,500クローンの10倍をカバーするプレートをスクリーニングしたが、kcs1を相補するイネ遺伝子を単離することはできなかった。一方、kcs1のイノシトール結合領域のアミノ酸配列に着目すると、OsITP5/6K-6がイノシトール六リン酸化を行っている可能性を示すデータが得られた。従って、両遺伝子がイネにおけるKCS1遺伝子の機能をある程度担っている可能性がある。両遺伝子の発現解析を行ったところ、OsIPK2は葯以外の期間では発現量が低かったが、OsITP5/6K-6は登熟中の種子での特異的発現が見られた。登熟中の種子では胚形成が行われる登熟初期の胚やアリューロン層において高い発現が認められた。 2. VIP1ホモログの同定酵母において最近イノシトール高次リン酸化合物の生合成経路で働く別に遺伝子VIP1がクローニングされた。イネゲノム中に相同性遺伝子が存在しないかをBLAST検索により調査したところ、2種類のVIP1ホモログ(OsVIP1-1,OsVIP1-2)が存在することが明らかとなった。
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