2008 Fiscal Year Annual Research Report
北陸での種子死滅現象から着想した雑草シードバンクを低減する生態システムの解明研究
Project/Area Number |
20658006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
吉岡 俊人 Fukui Prefectural University, 生物資源学部, 准教授 (10240243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 修 信州大学, 農学部, 准教授 (30360449)
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Keywords | 冬生1年草 / 生活環制御 / 生態発生進化 / 種子発芽 / 未発芽種子バーナリゼーション / バーナリゼーション遺伝子 / 発芽時ストレス耐性 |
Research Abstract |
雑草管理で重要な点は、いかにして埋土種子集団のサイズを小さくするかである。昨年度、福井ではコハコベ(Stellaria media)埋土種子の顕著な死滅現象が観察され、この原因として土壌微生物の関与が示唆された。そこで本研究では、埋土種子を死滅させる生態システムの存在を検証し、その地域特性を明らかにするために、種子死滅に関与すると考えられる土壌の生物学的要因と化学的要因を解析した。 福井県大野市、宮城県仙台市、奈良県奈良市における市街地歩道植え枡の雑草植生を2008年4月〜5月に調査し、出現草種の優占度を求めたところ、コハコベの優占度は、福井4.4、宮城23.8、奈良23.7であった。福井または宮城土壌に福井、宮城、奈良種子を3ヶ月間埋土すると99%以上死滅するのに対し、奈良土壌に3ヶ月間埋土した福井、宮城、奈良種子の死滅率は10%程度であった。いずれの土壌でも、滅菌すると種子の死滅率は1%以下となった。死滅種子から単離した細菌の中で、最も種子死滅作用が強かった菌株は、福井土壌に1ヶ月間埋土した胚黒色種子から得られたPseudomonsa sp.であった。平均土壌pHは、福井6.2、仙台6.3、奈良7.2であった。A1^<3+>濃度には一定の地域的傾向が認められなかった。また、感染実験において、pHおよびAl^<3+>濃度の違いは細菌の種子死滅作用の程度に影響しなかった。以上から、種子死滅作用の強い土壌微生物のフローラが土壌酸性度によって異なることが、雑草植生の地域問差異の1要因であると考えられる。
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Research Products
(4 results)