2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規輸入農産物の駆虫処理―マイクロ・ナノバブル洗浄技術とVHTの融合
Project/Area Number |
20658008
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
弦間 洋 筑波大学, 生命環境系, 教授 (70094406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 昌宏 (独)農業・食品産業技術総合研究機構, 生研センター, 主任研究員 (30418587)
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Keywords | 燻蒸検疫処理 / 過熱水蒸気 / VHT / 果皮黒変 / 無薬剤検疫処理 / 表面付着害虫 / 駆虫システム / 輸出入農産物 |
Research Abstract |
我が国における青果物輸出入時の植物検疫処理においては臭化メチルや青酸ガスなどの有毒薬剤を使用した燻蒸による検疫処理が一般に行われている。しかし、これらの薬剤使用は環境への影響、残留農薬の懸念、処理作業の安全性や老朽化による対応処理施設の欠如など多くの課題を抱えている。それに対処するため、これまで薬剤を全く使用しない種々の無薬剤検疫処理技術の開発に取組んできた今年度は過熱水蒸気を用いた蒸熱処理による輸入バナナ果実の新規検疫処理技術の開発を行った。過熱水蒸気は100℃で蒸発した飽和蒸気をさらに過熱した熱放射性H2Oガスである。この過熱水蒸気の凝縮潜熱による均一で素早い加熱を特徴とした伝熱特性を生かし、農産物への高温障害を最小限に抑制しながら、検疫害虫の完全駆虫を目標に、過熱水蒸気と空気を混合した湿り過熱水蒸気による処理方法を開発した。すなわち、過熱水蒸気および圧縮空気の流量を適宜調整して、混合タンク内で温度を50~60℃に制御して蒸熱処理装置に導入し、輸入バナナ果実の検疫処理を行った。処理温度や時間の条件を変化させて処理実験を行った結果、バナナ果実の果皮変色もなく、検疫害虫を100%駆虫できる蒸熱処理条件を確認することができた。得られた研究成果を以下に示す。(1)輸入バナナ果実の無薬剤燻蒸技術として過熱水蒸気による短時間蒸熱処理が十分適用可能である。(2)処理条件としては47.5~50℃、20分間処理が適当である。(3)カイガラムシなど果実表面付着害虫に対する蒸熱処理においては、処理温度は果肉温度よりも果皮表面の湿球温度を基準とする方がより現実的である。(4)高温によるバナナ果皮色黒変の閾値は52.5℃付近にあると推定される。また、今後の課題としては、高精度の温度制御を具えた過熱水蒸気処理装置の開発およびバナナ果実の多量処理が可能な燻蒸検疫システムの検討が必要であると考える。
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Research Products
(1 results)