2008 Fiscal Year Annual Research Report
堆肥から分離した新規な難培養性好熱細菌における異種細菌間相互作用の解明
Project/Area Number |
20658018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
境 雅夫 Kagoshima University, 農学部, 准教授 (20225775)
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Keywords | 堆肥 / 中等度好熱細菌 / 系統分類 |
Research Abstract |
環境中には多種多様な細菌種が生息しているが,この中には培養が容易ではない細菌種の存在も知られている。その要因の一つとして,細菌間の相互依存性が考えられている。本研究は,堆肥中に生息するこのような細菌相互作用下でのみ増殖する新規な細菌種を分離し,その特性と分類を明らかにすることによって,堆肥製造時に機能する微生物の制御を目的として行われた。 本研究において,活性汚泥堆肥の平板培養プレート(60℃培養)上に大きなコロニー(細菌A)の周囲に存在する小コロニー(細菌B)を見出した。この細菌Bの純粋分離を試みたが,単独で増殖させることが困難であった。そこで,細菌Aと共存して培養したところ,細菌Bの増殖が確認された。さらに,細菌Aの培養液を添加した培地での増殖も可能であり,細菌Bを純粋分離することに成功した。16S rDNA配列による系統解析の結果,細菌Aは既知のGeobacillus stearothermophilusと判明した。一方,細菌BはBacillales目に属しているが,既知の細菌種の中で最も近縁であるThermobacillus xylanilyticusとの相同率が89%しかなく,新規な細菌種であることが推察された。細菌Bは,増殖の最適温度が60℃にある中等度好熱細菌であり,多様な多糖類を分解する能力を有しているため,堆肥製造時に重要な役割をもつことが示唆された。細菌Aが細菌Bの増殖を促進する要因として,(1)pH調節作用(細菌Bの増殖pHは8.5付近の狭い範囲),(2)抗酸化物質の産生作用(細菌Bは活性酸素に感受性)、(3)NH_4^+産生作用(細菌Bの増殖はNH4+要求性)を明らかにした。
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Research Products
(3 results)