2008 Fiscal Year Annual Research Report
共生開始シグナル・イソフラボンを感知するダイズ根粒菌NodDの活性化機構
Project/Area Number |
20658019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉田 健一 Kobe University, 農学研究科, 准教授 (20230732)
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Keywords | ダイズ根粒菌 / イソフラボン / 共生窒素固定 |
Research Abstract |
野生ダイズ根粒菌Sinorhizobium fredii USDA191のNodD1は宿主植物のダイズから分泌される共生開始シグナル物質イソフラボン(ダイゼイン)を感知するマスター転写因子である。NodD1を大腸菌内でHisタグ融合して発現させ精製するシステムを立ち上げ、精製したNodD1に対する特異的抗体の作出した。本年度は、大腸菌内でのNodD1発現系の改良し、NodD機能をレポーターlacZ発現によって検出するシステムの確立にも成功した。しかし、大腸菌から調製したタンパク抽出物を用いて、NodD1のDNA結合をゲルシフト法等によって示すことは非常に困難であり、結合の安定検出についてはさらなる技術的な改善が必要である。NodD1の細胞内局在の観察についても、免疫電子顕微鏡による検討を続けているが未だ芳しい結果は得られていない。一方その代案として、ウェスタンブロッティング法によりNodD1のタンパク質レベル変動を検討した結果、ダイゼイン存在下でのみ可溶性の細胞膜画分に含まれるNodD1が顕著に増加することが示唆された。しかし、ダイゼイン添加によるnodD1の転写量の変化はなかった。これらの結果から、ダイゼイン添加によって細胞膜に含まれるNodD1の増加には、mRNAの翻訳効率の上昇、あるいはNodD1の安定化が関与すると推測された。そこでNodD1活性化の途中でタンパク質の新規合成を停止しNodD1の安定性を比較したところ、ダイゼイン存在下ではNodD1の分解抑制が観察された。これらの結果からNodD1活性化の過程でダイゼインが細胞膜に含まれるNodD1を安定化させその存在量を増加させることが示唆された。本年度のこれらの成果については8th European Nitrogen Fixation Conferenceなどで発表した。
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