2009 Fiscal Year Annual Research Report
別府地獄に棲息する好熱菌の分子生態学と高効率形質転換を利用した分子育種
Project/Area Number |
20658022
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Research Institution | Beppu University |
Principal Investigator |
古川 謙介 Beppu University, 食物栄養科学部, 教授 (90221556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 秀彦 別府大学, 食物栄養科学部, 助教 (10435167)
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Keywords | Thermus / 形質転換 / 高度好熱菌 / 別府温泉 / 分子育種 |
Research Abstract |
高度好熱菌Thermus thermophilus HB27株は、いかなる生育段階でも極めて高効率にDNAを能動的に取り込み組換える自然形質転換能を有し、この形質転換にはpil遺伝子群やcom遺伝子群の関与が示唆されている。本年度は平成21年度に引き続き、別府温泉の噴出孔および原泉から諸種の高度好熱菌を単離し、自然形質転換能を調べ、形質転換に関与する遺伝子群の解析を行った。 泉質の異なる別府温泉からThermus属細菌を20株分離し、ストレプトマイシン(Sm)高耐性変異株を取得した。これらの変異株からゲノムDNAを抽出し形質転換実験に用いた。変異株ゲノムDNAを対数増殖期の野生株培養液に添加し、Sm感受性菌のSm耐性能の獲得の有無で自然形質転換能を判断した。その結果、調べた20株のうち13株が自然形質転換能を有していた。形質転換能を示す株は自身のSm耐性DNAだけでなく、他菌株のSm耐性DNAをも取り込みSm耐性を獲得した。ついで20菌株について、形質転換に関与するとされるpil,com遺伝子の有無をPCR法とサザン解析により検討した。その結果、自然形質転換能を有するが、pil遺伝子群の一部を有していない株が存在することが明らかとなった。このことにより自然形質転換能はThermus属細菌に広く存在するが、形質転換に関与する遺伝子、従ってDNAの取り込み、組換えに関与するタンパク質が菌株間で異なっている可能性が示唆された。現在、単離したThermus属細菌の性質を詳細に調べるとともに、自然形質転換に関わる遺伝子及びタンパク質の特定を行っている。またThermus属細菌の高効率な自然形質転換を活用した分子育種を継続して行っている。
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Research Products
(1 results)