2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20658024
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大熊 盛也 The Institute of Physical and Chemical Research, 微生物材料開発室, 室長 (10270597)
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Keywords | 窒素代謝 / 尿酸 / 嫌気性微生物 / 窒素源の再利用 / シロアリ / 共生 |
Research Abstract |
窒素老廃物として尿酸を排泄する動物と嫌気的に尿酸を分解する細菌の共生は広く存在すると考えられるが、嫌気的分解に関与する酵素・遺伝子群をはじめ、分解細菌の生態や宿主動物との共生関係に関する研究はあまり進んでいない。シロアリとその腸内の嫌気的尿酸分解細菌による窒素源の再利用による共生は解明された数少ない例である。不溶性の尿酸を含む平板培地で嫌気的に尿酸を分解してハローを形成するCitrobacterr属などの腸内細菌群、Enterococcus属などの乳酸菌群、Clostridium属などグラム陽性嫌気性細菌などの細菌を様々なシロアリの腸内から分離して同定した。その過程で大腸菌も嫌気的に尿酸を分解することを見出した。そこで、分子生物学的研究に有利な大腸菌における嫌気的尿酸分解機構を解明することとし、トランスポゾン(Tn5)の挿入変異株を作成し、分解能欠損株を複数取得した。Arbitrary primed PCR法にてトランスポゾンの挿入周辺配列を決定して、挿入位置を調べたところ、大腸菌のゲノム上に3種存在するキサンチンデヒドロゲナーゼの相同遺伝子のひとつとその周辺の遺伝子クラスターに挿入が認められた。これらの遺伝子クラスターは機能未知のものが多く、推定上のpermeaseや転写制御因子も認められた。これら機能未知の遺伝子群が大腸菌における嫌気的尿酸分解に必須の役割を果たしていると考えられた。これらの遺伝子群を詳細に解析することにより、嫌気的尿酸分解に関わる新規の代謝・酵素の解明など学術上重要な発見につながるものと期待される。
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Research Products
(8 results)