2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20658028
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
貫名 学 Yamagata University, 農学部, 教授 (20113970)
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Keywords | エルゴチオネイン / 抗酸化物質 |
Research Abstract |
今年度は、1.エルゴチオネイン(ERT)を微量で検出するための手法として、エレクトロスプレーを用いた高速液体クロマトグラフィー質量分析計(ESI-LC-MS)によるERTの分析について、2.ERTのラジカル反応生成物の化学的性質について、3.ERT結合性生体成分の化學的性質について、の三つについて検討した。 1.のESI-LC-MSについては、各種キノコのエキスを用いて分析を行い、ERTの検出に成功した。ただ、使用したカラムがODS系であるためERTは保持されにくく保持時間約2分に、ポジティブモードで230、ネガティブモードで228にERTの分子イオンとして検出できることがわかった。またLCにおいてHILIC型のカラムを用いてERTを分析したところ、14分にピークが観察されることがわかったので、今後、HILIC型のLC-MSカラムを用いることでERTの保持時間の改善を図ることができるものと思われる。 2.のラジカル反応生成物については、1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル(DPPH)ラジカルとの反応生成物を調査したところ、ERTとDPPHの1:1の付加体の形成が観察されることがわかった。生成物はSラジカル由来かNラジカル由来かのどちらかであるが、その確証は未解明のままである。 3.のERT結合性生体成分の化学的性質については、ERTは例えばタモギタケ子実体をメルカプトエタノール(ME)と共に処理するとERTが未処理に比べて増加することから、生体内においてその他の生体成分と結合している可能性がある。このERT結合成分SH基を持つ化合物ないしタンパク質と考えられるが、その実体は未だつかめていない。タモギタケの水エキスおよび菌体分画のどちの分画にMEを加えてもERTの増加が見られた。ERT結合成分の解明は、ERTのビタミン機能の解明と表裏の関係にあると思われ今後も引き続いて明らかにしたい。
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