2008 Fiscal Year Annual Research Report
森林空間への風シミュレーションの応用-森林・林業における風研究の創出を目指して-
Project/Area Number |
20658037
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉田 茂二郎 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 教授 (80128462)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝上 展也 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (00274522)
|
Keywords | 森林 / 風研究 / シミュレーション / 台風被害 / リスク管理 |
Research Abstract |
本研究は、風物理シミュレーションを森林空間に導入し、今後の風研究の基礎を築くことを最終員的に、以下の3点にテーマを絞り研究を進めることにしている。 すなわち(1)大地形における風の挙動の把握と台風による被害地の推定、(2)強度間伐・列状間伐の風害のリスク評価ならびに(3)天然林施業における種子の飛散状況の把握である。 特に、今年度は、(1)の「大地形における風の挙動の把握と、台風による被害地の推定」について、台風の風シミュレーションから得られる風情報と被害との関係解析を行い、どの風要素が被害と密接に関係あるかを明らかにし、結果を他の台風に当てはめ、その被害予測の精度を検証することで進めた。 対象とした台風は、台風9119号で、1991年に発生した台風19号であり、大分県全域に壊滅的な台風被害をもたらしたものである。被害地マップ(空中写真で確定)から選定した被害地点31点と無被害地点31点の全62点において、200m格子幅の風況シミュレーションの言算ステップ毎に得られる瞬間値から算出した平均値、標準偏差、中央値、第3西分位数、四分位範囲を説明変数、被害アリ・ナシを目的関数とし、ロジスティック回帰分析を行った。 その結果、ロジスティック回帰分析では風向がSSW(1時間平均風速の最も高かった風向)の全ての変数であてはまりが良く、分類の全体精度も高くなった。この結果から台風9119号による日田市北部周辺での風害の場合では、1時間平均風速の最も高かった時間帯に風害が集中して発生したと考えられた。さらにモデルの精度は、標準偏差を用いた場合に最も高く、全体精度が72.6%で、kappa係数では0.45となった。また、精度が最も高かった風向SSWの標準偏差のモデルを適用し、地域の風害ハザードマップを作成することが出来た。
|