2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20658041
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮藤 久士 Kyoto University, エネルギー科学研究科, 助教 (00293928)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂 志朗 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (50205697)
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Keywords | 化学加工 / 液化 |
Research Abstract |
近年、地球規模でのエネルギー・環境問題が深刻化しており、カーボンニュートラルで再生産可能なバイオマス資源の利用に期待が寄せられている。特に非食糧資源であり膨大な腑存量をもつ木材が注目されている。木材は固体であるため扱いづらく利用が制限される場合があるが、液化反応により固体から液体へと変化させることでその利用は広がり、バイオ燃料や有用バイオ材料の創製などにつながると考えられる。本研究では従来とは異なる新規な方法として、イオン液体を用いた木材の液化プロセスの構築を目指した。イオン液体は、化学反応プロセスの環境負荷低減に対して有望な反応溶媒として注目されており、また、ある種のイオン液体にはセルロースが溶解することが明らかとなっている。 木材のイオン液体処理について検討を行った結果、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリドを用いた場合、90〜120℃程度の比較的低い処理温度でも木材は液化された。また、90℃よりも120℃の方が、液化反応はより進むことも分かった。木材の主要構成成分であるセルロース、ヘミセルロース、リグニンはいずれも液化されうることが明らかとなった。また、これらの木材成分はイオン液体中で低分子化を受け、セルロースやヘミセルロースは単糖にまで変換されうることも判明した。さらに反応雰囲気の影響に関する検討から、窒素などの不活性雰囲気下よりも酸素を用いた活性雰囲気下で、液化反応がより促進されることが分かった。イオン液体は、木質バイオマスに対して液化および低分子化反応をともなう化学変換溶媒として有効であると考えられる。
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