2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20658041
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮藤 久士 Kyoto University, エネルギー科学研究科, 助教 (00293928)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂 志郎 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (50205697)
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Keywords | 化学加工 / 液化 |
Research Abstract |
近年、地球規模でのエネルギー・環境問題が取りざたされる中、環境負荷が小さく、持続可能な資源としてバイオマスが注目されている。中でも地球上に莫大に存在する木質バイオマスは、重要なバイオマス資源の一つであり、その利用促進は極めて重要であると考えられる。木質バイオマスの利用方法は種々あるが、有機体であるという特徴を生かし、エネルギー利用や有用化学物質へと変換することで高度有効利用を図るには、生物的あるいは化学的な何らかの変換技術が必要となってくる。これまでにも様々な方法に関して研究が行われてきているが、本研究では、イオン液体を用いた液化による化学変換について検討を行った。 1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート([C2mim][Ac])、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド([C2mim][Cl])の2つのイオン液体を用いて木質バイオマスを処理した結果、どちらのイオン液体でも120℃程度の比較的低い処理温度で木質バイオマスは液化された。また、[C2mim][Ac]の方が、[C2mim][Cl]よりも液化能力に優れていることが明らかとなった。さらに、セルロース、ヘミセルロース、リグニンといった木質バイオマスの構成成分は、[C2mim][Ac]処理では分子量が高いまま保持されるが、[C2mim][Cl]処理では単糖程度の低分子量まで分解を受けることも判明した。以上のことから、用いるイオン液体により木質バイオマスの液化挙動は大きく異なり、木質バイオマスの有効利用を目指したイオン液体処理においては、目的に応じたイオン液体の選択が重要であるこが明らかとなった。
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