2008 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノムタイピングによるトラフグ属自然交雑個体の両親の種同定
Project/Area Number |
20658047
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
望岡 典隆 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 准教授 (40212261)
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Keywords | フグ / 自然交雑 / mtDNA / 核DNA / 塩基配列 / 種同定 |
Research Abstract |
トラフグ属魚類は日本周辺海域、東シナ海、黄海に22種が報告され、これらのうち13種は厚生労働省に食用として許可され、価値の高い水産資源となっている。本属魚類には自然交雑種が出現し、稀に流通する。一般に交雑種は模様が純系種とは異なるため、交雑フグか否かは外見で判断することが可能である。しかし、模様が類似する種間での雑種は純系種と同じような外見をしているものもおり、誤食による食中毒の原因となる可能性がある。今年度は交雑フグの両親種を同定する方法の確立および自然交雑フグの収集を目的とした。 日本周辺海域および中国、韓国沿岸で採集したトラフグ属15種について、親種を同定するため、嗅覚受容体VIR領域314bp、母親種同定のため、mtDNA Cytochromeわ領域113bpと16SrRNA領域570bpの塩基配列を決定した。 クサフグ♀×トラフグ♂の組み合わせで人工受精を行い、孵化直前の卵を用いて、これらの遺伝情報を用いた本法は有効性を検討した。さらに福岡県鐘崎沖で採捕された2タイプの自然交雑個体と考えられるフグ(タイプ1:ゴマフグに似るが、純系のゴマフグにはみられない胸鰭基部後方の大黒斑を有する。タイプ2:マフグに似るが、純系のマフグにみられない体表の棘を有する)の両親の種同定を行った。これらは大型で以前はマガイフグとして流通していたものである。 クサフグ♀×トラフグ♂の人工受精卵は、mtDNAからはクサフグ、嗅覚受容体VIRからはトラフグとクサフグが検出され、本法の有効性が確認できた。また、タイプ1はトラフグ×ゴマフグ、またタイプ2はトラフグ×マフグのそれぞれ交雑個体であることが明らかになった。このほか、フィールド調査により10タイプ以上のトラフグ属自然交雑と推定される個体を収集した。
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Research Products
(2 results)